全国経営協からのお知らせ

1.「社会福祉法人の「働き方改革」の捉え方~人事・労務管理の強化に向けたガイドブック~」を作成

 全国経営協制度・政策委員会福祉人材対策特命チームでは、働き方改革の基本的な考え方や社会福祉法人として特に留意すべき事項を整理した「社会福祉法人の「働き方改革」の捉え方~人事・労務管理の強化に向けたガイドブック~」を作成した。

 

 各会員法人における働き方改革関連法への対応の参考として、本ガイドブックをぜひご活用いただきたい。印刷物については、3月末を目途に各会員法人宛に送付予定である。

 

 なお、会報「経営協vol.426」(2019年3月号)では、「社会福祉法人と「働き方改革」」を特集し、①社会保険労務士へのインタビュー、②厚生労働省からの行政説明を掲載しているので、こちらもあわせてご覧いただきたい(3月末送付予定)。

 

全国経営協「社会福祉法人の「働き方改革」の捉え方~人事・労務管理の強化に向けたガイドブック~」の主な内容
 
1.なぜ社会福祉法人が「働き方改革」に積極的に取り組む必要があるのか
2.働き方改革関連法とは
3.社会福祉法人として特に留意すべき事項
4.「働き方改革」に対応した多様な働き方に対する社会福祉法人としての支援
参考資料① 「働き方改革」相談窓口及び参考資料一覧
参考資料② 厚生労働省解説パンフレット及びQ&A

障害福祉関係

2.2019年度障害福祉サービス等報酬改定の内容を告示

 平成31年3月25日、10月1日から施行される2019年度障害福祉サービス等報酬改定の内容を定める「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の一部を改正する告示」が公布された。
 主な改正内容は、①新しい経済政策パッケージに基づく更なる処遇改善(福祉・介護職員等特定処遇改善加算)②消費税率10%引き上げにあわせた障害福祉サービス等報酬に係る消費税の取り扱い(本体報酬の引き上げ)③訪問系サービスの福祉・介護職員処遇改善加算に係る加算率の見直しの3点。

 

 2月15日に開催された「第5回障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」において示された内容から変更はなく、福祉・介護職員等特定処遇改善加算(新加算)の加算率については、生活介護で新加算(Ⅰ):1.4%、新加算(Ⅱ)で1.3%、就労継続支援B型で新加算(Ⅰ):2.0%、新加算(Ⅱ):1.7%、福祉型障害児入所施設で新加算(Ⅰ):5.5%、新加算(Ⅱ):5.0%、施設入所支援で1.9%(1段階の加算率)。
 また、消費税率10%引き上げに対応した基本報酬単位数への上乗せは、生活介護(利用定員41人以上60人以下)では、区分6:1,104単位⇒1,111単位(+7単位)、区分5:819単位⇒824単位(+5単位)、区分4:570単位⇒573単位(+3単位)、区分3:504単位⇒507単位(+3単位)、区分2以下:461単位⇒464単位(+3単位)である。

 

 2019年度障害福祉サービス等報酬改定に関して、全国経営協では、昨年11月12日に開催された自由民主党「社会福祉推進議員連盟(会長:衛藤晟一参議院議員)」の総会に磯彰格会長が出席し、①処遇改善を行う加算率の算定根拠となる職員の範囲に、介護福祉士だけでなく、「社会福祉士」、「精神保健福祉士」を含めること、②消費税率10%引き上げ対応した障害福祉サービス費の改善を強く要望してきた。
 今回の報酬改定では、本会の要望が反映され、処遇改善を行う加算率の算定根拠に「社会福祉士」、「精神保健福祉士」が含まれるとともに、消費税率10%引き上げに対応した基本報酬単位数への上乗せが実現された

 

 なお、2月15日から3月16日までの期間で実施されたパブリックコメントの結果が公表され、今回の更なる処遇改善の「国費90億円」について、障害福祉人材約6万人(平成31年度の勤続10年以上の介護福祉士等の見込み数)×8万円×5月×約8割(福祉・介護職員特定処遇改善加算の取得見込み率)/2(国費分)の計算方法により算出していることが示された。

  また、支給方法については、現行の福祉・介護職員処遇改善加算において、賃金改善は、基本給、手当、賞与等(退職手当を除く。)の改善を実施しており、新加算においても同様の取扱いとする方向で検討していることが示された。

 

「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の一部を改正する件について(概要)」に対して寄せられた意見と厚生労働省の考え方
 
※ 全国経営協事務局整理
 
【処遇改善について】
No.5
<パブリックコメントの意見>
○ 事業所の裁量は、どの程度認められるのか。(処遇改善加算の配分ルールについて、2倍以上、1/2以下といった要件をなくし、事業所の裁量で決められるようにしてほしい。)
○ 「技能・経験のある障害職員の処遇改善分が、その他の障害職員の2倍以上とすること」という格差ありきの仕組みではなく、だれもが全員等しく、経験で昇給したり、技能資格で手当が支給されるような給与体系(賃金表)が作れるような処遇改善にしてほしい。
○ 小規模事業所の特例を設けてほしい(月額8万円以上の処遇改善となる者又は処遇改善後の賃金が年収440万円以上となる者を設定しなくても良い)。
<厚生労働省の考え方>
○ 介護職員と他産業との賃金差が依然として小さくない中、「新しい経済政策パッケージ」における介護職員の更なる処遇改善を行うという趣旨も踏まえ、障害福祉人材においても、事業所の裁量も一定程度認めつつ、経験・技能のある職員に重点化し処遇改善を行うことが適当であると考えております。なお、月額8万円の改善又は年収440万円の設定については、小規模な事業所で開設したばかりであるなど設定が困難な場合は法人の裁量により例外を認めることとしています。
 
No.8
<パブリックコメントの意見>
○ 事業所内の処遇改善加算の配分方法について、1区分の経験・技能のある障害福祉人材には「看護師」は含まれるのか。また、3区分のその他の職種には、現在までの処遇改善加算の対象に含まれなかった事務員等が含まれるのか。


<厚生労働省の考え方>
○ 「経験・技能のある障害福祉人材」は、原則、勤続10年以上の介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士、保育士、心理指導担当職員(公認心理師含む)、サービス管理責任者、児童発達支援管理責任者及びサービス提供責任者としており、看護師は含まれません。
○ また、「その他の職種」の対象職種として、事務職員は含まれます。
 
No.11
<パブリックコメントの意見>
○ 財源の算定根拠として示されている「勤続10年以上の介護福祉士をはじめとする8職種」の職種ごとの人数を示したうえで、介護人材の処遇改善と同水準の処遇改善となっているかを検証し、その結果を開示してください。介護人材側では、具体的な見込み人数が示されていますが、障害福祉側では具体的な人数が示されておらず、国費90億円が妥当なのか判断が出来ないため。
<厚生労働省の考え方>
○ 国費90億円程度については、障害福祉人材約6万人(平成31年度の勤続10年以上の介護福祉士等の見込み数)×8万円×5月×約8割(福祉・介護職員特定処遇改善加算の取得見込み率)/2(国費分)の計算方法により算出しています。
 
No.16
<パブリックコメントの意見>
○ 支給方法について、月例給と一時金を組み合わせることは可能か。可能であれば、その旨明示されたい。
<厚生労働省の考え方>
○ 現行の福祉・介護職員処遇改善加算において、賃金改善は、基本給、手当、賞与等(退職手当を除く。)の改善を実施しており、今般の更なる処遇改善においても同様の取扱いとする方向で検討しています。

社会福祉施設関係

3.本年4月27日から5月6日までの10連休におけるサービス等提供体制の確保に関する対応について

 平成31年3月14日、厚生労働省は、「本年4月27日から5月6日までの10連休における障害福祉サービス等提供体制の確保に関する対応について」(厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課長通知 障障発0314第1号/平成31年3月14日)、20日に「本年4月27日から5月6日までの10連休における介護保険サービス等提供体制の確保に関する対応について」(厚生労働省老健局長通知 老発0320第8号/平成31年3月20日)を発出した。

 通知では、10連休においても利用者の生活に支障を来たすことがないように、必要なサービス等を確保すること等が示されている。

高齢者福祉関係

4.介護分野における生産性向上に向けたガイドラインを策定

 平成31年3月12日、厚生労働省は、介護分野における生産性向上に向けたガイドラインを策定した。
 
 ガイドラインは、実際に業務改善に取り組む介護事業者を支援するため、業務改善の手引きを作成し、介護サービス事業所・施設における生産性向上に取り組むためのノウハウを普及するもの。「施設サービス」、「居宅サービス」、「医療系サービス」の3種類。

 

介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン(居宅サービス)のねらい
 
① 「介護の生産性向上」は、効率重視やケアの画一化ではなく、1人でも多くの利用者に質の高いケアを届けることで介護に対する認識を利用者・家族・介護職員自身がより価値を感じられるようにするという観点で「介護の価値を高めること」と読み替える。
② 生産性向上の取組経験がない事業所でも手軽に取り組みやすくする。
③ 活動の流れや取組方法をステップ形式で説明し、実際の実践例を用いて解決のしかたを紹介。
④ 介護サービスの取組に製造業のカイゼン活動を応用。例えば、5Sや3Mの視点。
⑤ 課題のみえる化ツールとして「気づきシート」、「因果関係図」、「業務時間調査票」を活用。
⑥ 取組を「職場環境の整備」、「記録・報告様式の工夫」、「ICT活用等による情報共有の効率化」など7つに分類。

 

介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン(施設サービス)のねらい
 
① 「介護サービスにおける業務改善」の上位目的は介護サービスの質の向上。取組を通じ楽しい職場・働きやすい職場が実現し介護で働く人のモチベーションが向上することにより、人材の定着・確保に繋がり、その結果、介護サービスの質の向上に結びつく考え。
② 業務改善の取組経験がない施設でも手軽に取り組みやすくする。
③ 活動の流れや取組方法をステップ形式で説明し、先進事例や本事業で創出した事例を用いて解決のステップを紹介。
④ 介護施設の事例には介護職以外の人材の活用例や介護ロボットの活用例も掲載。例えば、シルバー人材、見守り機器など。
⑤ 課題のみえる化ツールとして「気づきシート」、「因果関係図」、「業務時間調査票」を紹介。
⑥ 取組を「職場環境の整備」、「業務の明確化と役割分担(テクノロジーの活用)」、「情報共有の効率化」など7つに分類。