社会福祉法人関係
1.社会福祉施設におけるNHK受信料免除対象の拡大へ
平成30年1月16日、日本放送協会(NHK)は、社会福祉施設におけるNHK受信料免除対象を拡大する内容を盛り込んだ「NHK経営計画(2018-2020年度)」を公表した。
社会福祉施設におけるNHK受信料については、「日本放送協会放送受信料免除基準」において、「入所者または利用者の専用に供するため、その管理者が受信機を設置して締結する放送受信契約」の場合、全額免除とされている。
しかしながら、現行の「日本放送協会放送受信料免除基準」では、平成13年1月までの社会福祉関係諸法に規定されている施設のみが免除対象となっている。このため、老人デイサービス事業や老人短期入所事業が対象となる一方で、平成13年以降に創設された小規模多機能型居宅介護事業は対象になっていない。
この点について、昨年3月、山形県経営協より本会に対して、各会員法人における実情を踏まえた課題提起があった。本会では、制度・政策委員会において課題の整理と意見書のとりまとめを行い、5月16日に、現行の社会福祉法で位置づけられている第1種・第2種社会福祉事業を免除対象する旨の意見書を「NHK受信料制度等検討委員会」に提出した。その後、NHK担当者との意見交換を重ね、今般、本会の意見が反映され、現行の社会福祉法で位置づけられている第1種・第2種社会福祉事業が受信料の免除対象となる方向性が盛り込まれた。
今後、NHKでは、パブリックコメントを実施し、その結果を踏まえ、平成30年4月より、免除対象の拡大が行われる予定であるが、 免除には申請が必要となることから、本会として、関係者への周知を積極的に進めることとしており、各会員法人においても当該事業所の関係者への周知にご協力をお願いしたい 。
【NHK】NHK経営計画(2018-2020年度)
【NHK】日本放送協会放送受信料免除基準
【全国経営協】社会福祉事業・施設の利用者等に対するNHK受信料の免除基準について(意見)
保育関係
2.福祉系国家資格所有者等の保育士資格取得への対応
平成30年1月15日、福祉系国家資格(介護福祉士・社会福祉士・精神保健福祉士)を所有する者への保育士養成課程・試験科目の一部免除等を行う関係省令等の改正が行われた。
これは、平成29年5月24日に「保育士養成課程等検討会」(座長:汐見 稔幸 白梅学園大学学長)がとりまとめた報告書を踏まえて、以下の改正を行ったもの。
① 福祉系国家資格所有者(介護福祉士・社会福祉士・精神保健福祉士)に対し、保育士試験の一部の科目(社会福祉・児童家庭福祉・社会的養護)の受験を免除するとともに、その他の科目についても、指定保育士養成施設において、試験科目に対応した教科目を履修した場合には、当該試験科目の受験を免除
② 介護福祉士養成施設を卒業した介護福祉士に対し、保育士養成施設での履修科目の一部を免除
今回の改正にあたって、パブリックコメントに寄せられた意見に対する厚生労働省の考え方もあわせて公表されている。
その中では、今回の改正は介護福祉士から保育士になるための負担軽減のみを定め、保育士から介護福祉士になるための負担軽減策が示されていないという意見に対し、厚生労働省は、今回の改正は、2021年度を目処とした新たな共通基礎課程創設までの間の当面の措置として位置づけている考えを示した。
パブリックコメントに寄せられた意見と厚生労働省としての考え方
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【厚生労働省】児童福祉法施行規則及び厚生労働省関係国家戦略特別区域法施行規則の一部を改正する省令の施行等について
【e-Gov】児童福祉法施行規則等の一部を改正する省令案等に関する御意見の募集結果について
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495170234&Mode=2
【厚生労働省】福祉系国家資格所有者等の保育士資格取得への対応について(報告書)
3.子ども・子育て支援法の改正案が示される 第34回子ども・子育て会議
平成30年1月17日、「第34回子ども・子育て会議」(会長:無藤 隆 白梅学園大学大学院特任教授)が開催され、子ども・子育て支援新制度に関する予算案、子ども・子育て支援法の改正(案)について議論が行われた。
子ども・子育て支援法の改正(案)に関しては、改正のポイントとして、以下の3点が示された(施行日は、平成30年4月1日を予定)。
① 事業主拠出金の率の上限を0.25%から0.45%に引き上げる。
② 事業主拠出金の充当対象に子どものための教育・保育給付の費用(0歳~2歳児相当分に限る)を加える。
③ 市区町村の待機児童解消等の取組を支援するため、都道府県は関係市区町村等との協議会を組織できるものとし、国は市区町村が行う保育の量的拡充及び質の向上を図る事業に対して支援できるものとする。
改正法案は、今後、今国会に提出される予定である。
子ども・子育て支援法の改正(案)について
保育の需要の増大等に対応するため、一般事業主から徴収する拠出金の率の上限を引き上げるとともに、当該拠出金を子どものための教育・保育給付の費用の一部に充てることとする等の措置を講ずる。
【概 要】
1.事業主拠出金の率の上限の引上げ ○ 一般事業主から徴収する拠出金率の上限を0.25%から0.45%に引き上げる。 2.事業主拠出金の充当対象の拡大
○ 「子育て安心プラン」に基づき増加する保育の運営費(0歳~2歳児相当分)に拠出金を充てることを可能とする観点から、事業主拠出金の充当対象に子どものための教育・保育給付の費用(0歳~2歳児相当分に限る)を加える。 3.待機児童解消等の取組の支援
○ 市区町村の待機児童解消等の取組を支援するため、都道府県は関係市区町村等との協議会を組織できるものとするとともに、国は市区町村が行う保育の量的拡充及び質の向上を図る事業に対して支援できるものとする。 ※ 1~3のほか、特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)において、年金特別会計の子ども・子育て支援勘定の歳出項目に子どものための教育・保育給付を追加する等の所要の改正を行う。
【施行期日】
平成30年4月1日(予定) |
【内閣府】第34回子ども・子育て会議動画
http://wwwc.cao.go.jp/lib_004/shoushi/20180117_kosodate29.html
社会保障・財政関係
4.規制改革実施計画のフォローアップの実施へ 第25回規制改革推進会議
平成30年1月18日、第25回規制改革推進会議(議長:大田 弘子 政策研究大学院大学 教授)が開催され、「規制改革実施計画」のフォローアップの実施について検討が行われた。
フォローアップの対象となるのは、「規制改革実施計画」(平成29年6月9日閣議決定)に掲げるすべての事項と、これまでの「規制改革実施計画」に盛り込まれた事項の中で、平成28年度末時点で「措置済み」とされていない事項、「要フォロー継続」とされた項目。
所管省庁は、平成29年度末時点での「規制改革実施計画」の事項の実施状況を3月30日までに報告し、その後、規制改革推進会議ワーキング・グループにて精査が行われ、規制改革推進会議に報告が行われる予定である。
なお、社会福祉法人・社会福祉施設関係で、「規制改革実施計画」(平成29年6月9日閣議決定)に盛り込まれている実施事項(フォローアップの対象)は以下のとおり。
「規制改革実施計画」(平成29年6月9日閣議決定)の個別実施事項
※ 全国経営協事務局整理
① 介護サービス利用者の選択に資する情報公表制度及び第三者評価の改善
No.1 介護事業者選択に資する情報の分かりやすい表示への見直し No.2 情報公表システムにおける利用者の選択に資する機能の追加 No.3 情報公表システムの周知 No.4 第三者評価受審促進に向けた具体的数値目標の設定と支援等の実施 No.5 第三者評価受審に係るインセンティブの強化 No.6 第三者評価の利用者選択情報としての位置付けの強化 No.7 第三者評価機関及び評価調査者の質の向上の推進 No.8 高齢者福祉サービス版の評価基準の充実 No.9 介護事業者向けの手引書等の作成 ② 介護保険内・外サービスの柔軟な組合せの実現
No.10 介護保険サービスと保険外サービスの組合せに係る新たな通知の発出と周知 No.11 訪問介護サービスにおける柔軟な組合せの実現等 No.12 通所介護サービスにおける柔軟な組合せの実現 No.13 保険サービスと関係する保険外サービスに係る柔軟な価格設定の在り方 No.14 利用者の自費負担で介護保険と同等のサービスを提供する場合の価格規制の明確化 ③ 介護サービス供給の在り方の見直し
No.15 介護保険事業(支援)計画におけるニーズを反映した的確なサービス量の見込み及び見込量確保のための方策 No.16 介護保険事業(支援)計画における特定施設のサービス量の見込みの実態把握 No.17 介護事業者選定のための公募に係る留意点の明確化 No.18 福祉施設に関する業務委託・指定管理者公募に係る事業者選定に関する通知 ④ 介護事業の展開促進・業務効率化の促進
No.19 定期巡回・随時対応型訪問介護看護、小規模多機能型居宅介護の事業展開上の支障となる規制の見直し No.20 介護報酬体系の簡明化 No.21 社会福祉法人の基本財産への担保設定の在り方の見直し No.22 福祉医療機構の役割が民業補完であることを踏まえた同機構の融資に係る担保設定の在り方の見直し ⑧ 保育所等の利用に要する就労証明書の見直し
No.35 保育所等の利用に要する就労証明書の標準的様式の作成 No.36 保育所等の利用に要する就労証明書の電子入力対応様式の普及促進 |
【内閣府】第25回規制改革推進会議
http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/meeting/committee/20180118/agenda.html
【内閣府】「規制改革実施計画」(平成29年6月9日閣議決定)
http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/publication/170609/item1.pdf
5.「全世代型」の社会保障の実現に向けた課題を提案 第1回経済財政諮問会議
平成30年1月23日、第1回経済財政諮問会議(議長:安倍 晋三 内閣総理大臣)が開催され、中長期の経済財政の展望、経済財政諮問会議の今年の検討課題について議論が行われた。
中長期の経済財政の展望について、中長期の経済財政の試算が示され、「成長実現ケース」(アベノミクスで掲げたデフレ脱却・経済再生という目標に向けて、政策効果が過去の実績も踏まえたより現実的なペースで発現する姿を試算したもの)では、プライマリーバランス(PB)の黒字化は、平成29年7月の試算よりも2年遅れ、2027年度になることが示された(ただし、この試算は、歳出改革を織り込んだものではない)。
今後、政府では、これまでの経済・財政一体改革の取組を精査した上で、平成30年夏にとりまとめる「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)において、PBの黒字化の達成時期及びその裏付けとなる具体的な計画を示すこととしている。
中長期の経済財政の試算に関して、麻生 太郎 副総理兼財務大臣は、PBの黒字化達成に向けた計画を策定するにあたっては、経済成長と財政健全化の両立を図り、歳出・歳入の両面から、毎年度継続して取り組めるよう、改革の方針や、医療および薬価などの制度改革等を含めた具体的な中身や工程をしっかり定めることが大事なことであるとした。
経済財政諮問会議の今年の検討課題について、有識者議員4名からは、「全世代型」の社会保障の実現に向けた課題が提案され、「一人当たり医療費・介護費の効率化・地域差半減への取組加速、広域化・制度間連携(介護制度と後期高齢者医療制度等)強化」、「医療・介護分野の人手供給の仕組み(スキル強化と高齢労働力の活用等)」、「子ども子育て支援に当たっての国、都道府県、市町村の連携強化(上乗せ措置の見える化等)」等が挙げられている。
この点に関連して、有識者議員である榊原 定征 東レ株式会社相談役は、歳出改革の柱である社会保障改革への手綱を緩めるべきではないとし、過去3年間の予算編成では、社会保障関係費の伸びは計画どおり5,000億円に抑えてきたことを踏まえ、今後も取り組みを継続していくことが重要であるとした。その上で、中間評価においては、これまでの社会保障分野における改革事項の財政効果や医療・介護の将来給付の姿を明らかにし、政策的対応を具体的に検討することが重要と指摘している。
経済財政諮問会議における2018年前半の主な課題について(有識者議員提出資料)
【一部抜粋】 3.将来課題のバックキャストを通じた「持続可能な経済財政の基盤固め」
人口が減少し、かつ、団塊の世代が2022年から後期高齢者となる中にあっても、ダイナミックな成長を持続し、格差の固定化しない経済社会を実現できるよう、国民一人ひとりの生涯にわたる社会保障の実現に向けた制度設計に着手すべき。また、地方創生に向け、頑張る地方を支援する仕組みづくり、を抜本的に強化すべき。 (1)「全世代型」の社会保障の実現に向けて
● 一人当たり医療費・介護費の効率化・地域差半減への取組加速、広域化・制度間連携(介護制度と後期高齢者医療制度等)強化 ● 医療・介護分野の人手供給の仕組み(スキル強化と高齢労働力の活用等) ● 子ども子育て支援に当たっての国、都道府県、市町村の連携強化(上乗せ措置の見える化等) ● 健康・予防、自立支援、在宅診療の徹底推進、効果が見込める研究開発の推進 ● 医療・介護の将来給付の姿とそこから明らかになる政策的対応の検討 |
【内閣府】第1回経済財政諮問会議 議事要旨
http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2018/0123/gijiyoushi.pdf
情報提供・ご案内
6.「地域共生社会フォーラム~ともに生きる豊かな地域共生社会づくりのために~」のご案内
地域共生社会の実現に向けて、住民の身近な圏域で、住民が主体的に地域課題を把握して解決を試みる体制づくりと市町村における複合的な課題を解決するための包括的な相談支援体制を構築するため、社会福祉法が改正されるとともに、自治体の創意工夫ある取り組みを支援するモデル事業が展開されている。
本フォーラムでは、地域共生社会の実現に向けた実践(PR映像)の紹介とシンポジウムをもとに、今後のさらなる取り組みと展開に向けた課題やポイントを考える。
地域共生社会の実現に向けて、社会福祉法人がその専門性とノウハウを活かし、主導的な役割を果たすことが期待されている。今後の各法人での実践に向けて、本フォーラムをぜひご活用いただきたい。
地域共生社会フォーラム
~ともに生きる豊かな地域共生社会づくりのために~ 【日 時】平成30年2月26日(月)13:00~17:30(予定)
【会 場】全国社会福祉協議会「灘尾ホール」(千代田区霞が関3-3-2) 【参 加 費】2,000円(資料代) 【対 象】社会福祉法人、市区町村社会福祉協議会、都道府県・指定都市社会福祉協議会、行政・自治体関係者NPO等 【定 員】300名 【主 催】厚生労働省 全国社会福祉協議会 【主な内容】 ① 実践報告・PR映像 地域共生社会の実現に向けた取り組みのPR映像の紹介、審査・表彰 <登壇者> 映像・実践報告自治体の関係者(5自治体程度) <コーディネーター> 坂本 文武 氏(一般社団法人Medical Studio代表理事) ② 地域共生社会の実現に向けたシンポジウム <登壇者> 迫田 朋子 氏(元NHK制作局文化・福祉番組部 エグゼクティブディレクター) 村木 厚子 氏(元厚生労働事務次官、津田塾大学総合政策学部 客員教授) 本後 健 氏(厚生労働省社会・援護局地域福祉課 生活困窮者自立支援室長) ※ほか調整中 <コーディネーター> 湯浅 誠 氏(社会活動家・法政大学 教授) |
【地域福祉・ボランティア情報ネットワーク】「地域共生フォーラム」の開催について
お詫び・経営協情報No.57(平成30年1月4日)の訂正
平成30年1月4日に配信した『経営協情報No.57』の「5.社会福祉施設等の耐震化率89.6% 平成28年社会福祉施設等の耐震化状況調査」の内容に誤りがありましたので、以下のとおり訂正させていただきます。ご迷惑をお掛けしましたことを深くお詫び申しあげます。
平成28年社会福祉施設等の耐震化状況調査
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